
コンピューターといえば、ほとんどの場合、電気で動く現代のコンピューターを思い浮かべます。しかし、すべてのコンピューターが電気で動いているわけではありません。ノースカロライナ州立大学の研究者たちは、トランジスタと電気の代わりに、切り紙技術を活用したコンピューターを開発しました。切り紙技術とは、折り紙と切り絵を組み合わせて立体的な形状を作り、制御する技術です。この切り紙コンピューターは、今日のPCやスマートフォンを支えるすべてのコンピューティングアーキテクチャと同様に、1と0を含む複数の状態を表すように操作できます。さらに、この研究では、立方体を使って2、3、または4つの状態を表すことができ、5状態コンピューターを定義できることも証明されました。
切り紙コンピュータは、幅と高さがわずか1cmの立方体が64個連結された構造になっています。立方体は、その形状がデータを表すように配置されています。データの操作(編集)は、立方体を上下に動かすことで行います。これにより、連結された立方体の形状が変化します。64個の立方体からなるこのコンピュータは、単独で使用することも、他の64個の立方体からなる切り紙コンピュータに接続して複雑さを増し、システムのストレージ(データ)容量を増強することもできます。
名前の通り、切り紙コンピューターは同名の日本の芸術からインスピレーションを得ています。切り紙をご存知ない方のために説明すると、切り紙とは日本の折り紙芸術の一種で、紙から飛び出すような立体的な構造物を作ることができます。立体的なオブジェが描かれた飛び出す絵本やカードを見たことがあれば、それが切り紙です。
各キューブは細い伸縮テープで互いに繋がれています。ユーザーがデータを編集しようとすると、キューブ構造の端を引っ張る必要があります。すると伸縮テープが引っ張られ、各キューブの位置(上下)が変わります。構造を放すとキューブは固定されます。これは、Word文書を保存したり、ファイルを「読み取り専用」にロックしたりするのと似ています。
NCSUの准教授であるJie Yin氏によると、Kirigamiコンピュータの目標は、データを保存するための安定した機械システムを開発することです。Kirigamiコンピュータの主な焦点は2値計算機能です。しかし、将来的にはより複雑な計算が可能になる可能性があり、Kirigamiコンピュータは0、1、2、3、または4つの状態(2値だけでなく)を表現できる5状態コンピュータへと進化する可能性があります。
切り紙コンピュータの複雑さは事実上無限です。Jie Yin氏は、切り紙コンピュータを用いて、データ暗号化や触覚通信など、互いに関連のない様々な機能を実行するというアイデアについて語っています。参考までに、Jie Yin氏によると、わずか9つの機能ユニットからなるシンプルな切り紙メタ構造でも、36万2000通り以上の構成が可能です。さらに、コンピュータの64個のキューブすべてを加えると、構成の数は指数関数的に増加します。
キリガミコンピュータの最大の利点は、電磁パルス(EMP)や遠隔ハッキングといった電子コンピュータにありがちな脆弱性を回避できるとされている点です。また、少なくとも現状では電力を一切使用しないため、コストパフォーマンスが向上し、実質的にメンテナンスフリーとなります。しかし、デバイスに統合された際にこれがどのように機能するかはまだ分かりません。キリガミコンピュータが研究段階を終えれば、政府、銀行、企業がコンピュータウイルス、盗難、その他のセキュリティ脆弱性に対抗するためのバックアップマシンとしてデータを保存するなど、特定のタスクにおいて現代の電子コンピュータの代替として活用できる可能性があります。
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Aaron Klotz 氏は Tom's Hardware の寄稿ライターであり、CPU やグラフィック カードなどのコンピューター ハードウェアに関するニュースを扱っています。