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HTC Viveワイヤレスアダプターレビュー:テザー不要、AMD不要

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ワイヤレスVRはうまく動作すると素晴らしい

Viveワイヤレスアダプターのテスト方法

Viveワイヤレスアダプターの完全テストには、3台の異なるPCを使用しました。1台目は、Intel Core i7-5930K、16GBのCrucial Balistix DDR4 2333、MSI X99A Xpower AC、Crucial M400 500GB SSDを搭載した通常のVRテストシステムです。2台目のテストシステムは、AMD Ryzen 7 1700、16GBのCorsair Vengeance DDR4 3200、Asus Prime X370-A、そして同じくCrucial M400 500GB SSDを搭載しています。

また、今回のレビュー中にテストベンチをアップグレードし、Intel Core i7-8700KAsus Prime Z370-Aマザーボード、16GB のG.Skill Sniper X 16GB DDR4-3600 を搭載しました。

グラフィック カードの選択には、Asus GeForce GTX 1070 Turbo とNvidia GeForce RTX 2080 FE が含まれていました。

Nvidia の FCAT VR パフォーマンス評価ツールを使用してパフォーマンス分析を取得し、 Basemark の VRScore ベンチマークと VRTrek レイテンシ テスト デバイスを使用して、ワイヤレス キットがディスプレイ パイプラインに追加するレイテンシを判定しました。

完全な自由を体験する

最初にViveワイヤレスアダプターを標準のViveヘッドセットに装着し、いつもの Intel Core i7-5930K テストマシン(現在は Nvidia GeForce RTX 2080 FE グラフィックカード搭載)で試してみましたが、そのパフォーマンスに感銘を受けました。信号は強力で、ディスプレイはケーブル接続のヘッドセットと同じくらい鮮明でした。

有線接続を捨ててワイヤレス接続にするメリットを実証するために、いくつかゲームを起動してみました。Space Pirate Trainerはプレイ中にコードを踏んでしまうことがほとんどなので、このゲームを選びました。また、Sword Master VRもいくつかプレイしました。これほど素早い動きと360度回転を必要とするゲームは他にほとんどないからです。

Space Pirate Trainerのスコアは伸びませんでしたが、ゲームへの没入感は確実に向上しました。このゲームをプレイするたびに、ケーブルを踏んでしまい、頭が後ろに引っ張られて一瞬現実に引き戻されるような感覚になります。中断されることなくアクティブなラウンドをプレイできるのは、本当に素晴らしい体験でした。

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Sword Master VRもまた、テザーケーブルを酷使するゲームです。敵の群れと剣を交えて戦うには、素早い機敏な動きが求められ、しかも敵はあらゆる方向から襲い掛かってきます。剣戟の最中は、ケーブルが絡まないように最後にどの方向を向いたかを考える暇もありません。私は普段、ラウンドの合間にヘッドセットを外して絡まったケーブルをほどいていますが、ワイヤレスアダプターを装着すれば、ゲームプレイを中断する必要がありません。

足にケーブルを何回巻き付けるか気にせず、テレポート移動を体験したかったので、「Arizona Sunshine」もプレイしました。他のゲームと同様に、ケーブルから解放されることで、仮想世界への没入感がより深まることが最大の収穫でした。

どのゲームも素晴らしい体験でした。

Viveワイヤレスアダプターの性能について、初代Viveで十分に興味を持った後、キットをVive Proヘッドセットに装着して同じテストを繰り返しました。Viveワイヤレスアダプターが高解像度のディスプレイ信号を途切れることなく処理できることに驚きました。多少のフレーム落ちはありましたが、大きな不満を抱くほどではありませんでした。

残念ながら、Vive ワイヤレス キットに関する私の経験はここから悪化しました。

問題は山積み

Viveワイヤレスアダプターを、いつものIntel Core i7-5930Kテストマシン(現在はNvidia GeForce RTX 2080 FEグラフィックカード搭載)で初めて試してみましたが、そのパフォーマンスに感銘を受けました。信号は強力で、ディスプレイはケーブル接続のヘッドセットと同じくらい鮮明でした。

Intel i7-5930KテストシステムでViveワイヤレスキットを試した後、WiGigカードをAMD Ryzen 1700テストシステムに移しました。しかし残念ながら、ハードウェアかドライバーのどこかがRyzenテストシステムとうまく連携しませんでした。

Ryzen システムでは、ゲームがランダムにフリーズしたり、アプリケーションがクラッシュすると SteamVR が閉じなくなったりするなど、奇妙な不安定さの問題を経験しました。また、PC を再起動しようとするたびに、Windows の再起動読み込み画面で PCが停止しました。なんとか動作させても、フレームレートが非常に不安定で、ヘッドセットを 1、2 分以上装着し続けると吐き気がしました。さらに悪いことに、Vive Pro を接続すると、画面に画像が表示されませんでした。後で調べたところ、SteamVR Home は起動時にクラッシュし、Windows タスク マネージャーでプロセスを強制終了するまで画面が空白のままでした。

Googleで簡単に検索してみると、今回の問題は単独の問題ではないことが分かりました。Viveワイヤレスアダプターと一部のRyzenベースのシステムの間に互換性の問題があるようで、HTCの多くの顧客に影響を与えています。本稿執筆時点では、 HTCのサポートフォーラムにこの問題に関する13ページのスレッドが投稿されており、HTCの担当者は解決に時間がかかる可能性があるため、デバイスの返金を提案しています。

HTCにこの問題について問い合わせたところ、同社は問題を認識しており調査中であると述べました。担当者は、この問題は特定のマザーボードに限定されていると考えているようですが、具体的にどのマザーボードを避けるべきかについては言及しませんでした。私たちはAsus X370を使用していますが、HTCのサポートフォーラムにはGigabyteやMSIのマザーボードユーザーからの報告も掲載されています。

2018年11月19日午前9時50分(太平洋標準時)更新:HTCは、一部のRyzen搭載PCとの非互換性問題を認める公式声明を発表しました。同社は部品メーカーと協力して問題の特定と解決策の検討に取り組んでいます。ただし、この問題の影響を受けている場合は、HTCはViveワイヤレスアダプターのご購入から使用期間に関わらず、返金いたします。

PCIe は新たなボトルネックとなるのか?

ViveワイヤレスアダプターはVRディスプレイのパイプラインに新たなステップを導入するため、PCプラットフォームの選択が以前よりもはるかに重要になります。VRヘッドセットが初めて市場に登場した頃は、グラフィックカード と CPUのアップグレードが 主な懸念事項でした。ほとんどの人はマザーボードの選択に十分な注意を払っていませんでしたが、これはケーブルを切ってワイヤレス化したい人にとっては問題となる可能性があります。

ワイヤレスアダプターを使用する場合、グラフィックカードは依然として重要ですが、ディスプレイインターフェースからビデオ信号を送信しなくなります。Viveワイヤレスアダプターは、ビデオ信号をマザーボード経由でPCIe経由でWiGigカードにリダイレクトします。WiGigカードは1レーンしか必要としないため、PCIeレーン数は問題にならないはずですが、カードを取り付けるスロットが問題になる可能性があります。

HTC では、パフォーマンスや通信に問題がある場合、ボード上のさまざまな PCIe スロットを試すことを推奨していますが、HTC のサポート フォーラムの一部のコメントでは、グラフィック カードに最も近い PCIe 1x スロット (ボードに x16 スロットがある場合は、その真上にあるスロットが望ましい) を使用するとうまくいく傾向があることが示されています。

ソフトウェアアップデートですべてが一変

Ryzenベースのテストシステムで発生したロックアップ問題と、Core i7マシンの古さから、ワイヤレスキットを適切にテストできるようテストプラットフォームをアップグレードしました。新しいセットアップは、Intel Core i7-8700KAsus Prime Z370-Aマザーボード、そして16GBのG.Skill Sniper X 16GB DDR4-3600メモリで構成されています。

新しい部品がVRラボに到着する前に、HTCはViveワイヤレスアプリケーションのアップデートをリリースしました。おそらくこのアップデートで私たちが経験した問題の一部は修正されているはずでしたが、新たな問題も発見されました。

新しいソフトウェアアップデートにより、標準のViveヘッドセットはRyzenテストシステムで大幅に動作が改善されたようです。しかし、1~2秒ごとにわずかなスタッターが発生し、体験全体が台無しになっています。VRヘッドセットでフレームのスタッターを経験するよりは、PCにテザーケーブルで接続した方がましです。

驚いたことに、ソフトウェアアップデートはVive Proヘッドセットに逆効果をもたらしました。アップデート後、Intelのテストシステムは突然、ワイヤレスキットを搭載したVive Proを駆動するのに十分なパワーがありませんでした。フレームレートが異常に低下し、非常に不快な体験となりました。

Nvidia の FCAT VR ツールのフレームタイム分析をざっと見てみると、テザー接続時に 90 FPS 以上で実行されていたシーンが、Vive Pro を Vive ワイヤレス アダプターとともに使用している場合はその速度のほんの一部でレンダリングされることがわかりました。

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Viveワイヤレスソフトウェアとドライバーの再インストール、WiGigカードを別のPCIeスロットへの変更など、トラブルシューティングを試みたものの、目立った改善は得られませんでした。しかし、インターリーブおよび非同期再投影を有効にすると、顕著な改善が見られました。NVIDIAは、FCAT VRを実行する際に真のパフォーマンス数値を得るためにこれらの機能を無効にすることを推奨していますが、これらの機能を無効のままにしておくと、Vive Proをワイヤレスキットで使用できなくなります。

PCが問題だったわけではない

新しいハードウェアをテスト環境にインストールすると、Vive Proのパフォーマンスが向上すると期待していましたが、低いフレームレートは解消されませんでした。リプロジェクションを有効にするとフレームレートの問題が分かりにくくなりますが、FCAT VRではその真相が明らかになります。下のグラフに示すように、リプロジェクションを有効にしないと、システムで劇的なフレーム落ちが発生しました。Valveのリプロジェクション技術は、システムの欠点をうまく補ってくれます。

Valve の非同期再投影およびインターリーブ再投影テクノロジーがなければ、ワイヤレス アダプターは Vive Pro ヘッドセットには役に立たないでしょう。

レイテンシーはどうですか?

DisplayLink社がワイヤレス技術を発表した際、同社はワイヤレスシステムによる遅延の増加はわずか2ミリ秒であると発表しました。残念ながら、この主張を検証することはできませんでした。

Viveワイヤレスアダプターがどの程度の遅延を発生させるかを調べるため、BasemarkのVRScoreベンチマークを使用しようとしましたが、ソフトウェアは正常に動作しませんでした。Core i7-5930KテストリグではVRTrekツールの動作に常に問題があったため、通常はRyzenマシンを使用しています。しかし、そのPCのWiGigカードに問題が発生しているため、Ryzenベースのシステムで正確なレポートを生成できるとは思えません。

新しいCore i7-8700Kテストリグはソフトウェアで正常に動作するはずですが、VRScoreをこのマシンで起動することができず、原因は不明です。レイテンシに関する詳細は、テスト用のツールが完成したら改めて検証します。

テザーは常に移動しなければなりませんでした!

ワイヤレスVRを待ち望んでいたのは、もう何年も前のことのように感じます。2015年9月にHTC ViveとルームスケールVRを初めて体験した時、ケーブルはもう不要だとすぐに悟りました。初代Vive用のソリューションが実現するとは思っていませんでしたが、HTC、Intel、そしてDisplayLinkが解決策を見つけてくれたのは本当に嬉しいです。ViveワイヤレスアダプターはまさにVRに必要なものです。

完璧な解決策ではありません。ノートパソコンには(現時点では)対応しておらず、多くの人が許容する以上のトラブルに見舞われました。しかし、そのようなトラブルがあったにもかかわらず、ワイヤレスアダプターが動作した時は、真に没入感のある体験が得られ、それは見逃せないものでした。

お気に入りのVRゲームをプレイしているときに、テザーケーブルに足を絡ませたり、Link Boxからケーブルを引っ張ってしまったりすることが何度あったか分かりません。VRを他の人とシェアするのが好きな私にとって、一番の不安の一つは、誰かが3in1ケーブルを踏みつけて壊してしまうことです。ワイヤレスアダプターがあれば、ケーブルが絡まったり、足を滑らせてゲームが途中で切れたりする心配はありません。

ワイヤレス信号の見通し内接続は驚くほど安定しています。カメラの視野から1~2秒離れるだけで信号が途切れました。また、私の動きの速さも伝送速度に影響を与えていないようでした。どれだけ速く動き回っても、どれだけ激しく回転しても、画質は変わりませんでした。実際に発生した伝送問題は、WiGigワイヤレス信号とは関係がないと確信しています。問題は、GPUとWiGigカード間のPCIe経由の通信障害によるものと思われます。

ワイヤレスアダプターの問題が表面化する前は、Viveワイヤレスアダプターに高評価を付けて熱烈なレビューを書くつもりでした。デバイスの作りはしっかりしていて、125グラムという驚くほど軽量で、取り付けも簡単で、有線のViveをはるかに優れた製品に変えてくれます。Viveワイヤレスアダプターに関して私が最も不満に感じていたのは、トラブルが発生するまではバッテリーの持ちが短かったことです。

Viveワイヤレスアダプターは、Viveヘッドセットの優れたアップグレードとなるためのあらゆる特徴を備えていますが、今回私たちが経験した問題を考慮すると、Intelプロセッサー搭載のシステムをお持ちで、Vive Pro以外のモデルとペアリングする予定がある場合にのみ購入することをお勧めします。HTCはソフトウェアアップデートでこれらのバグの一部を修正すると思われますが、この記事の執筆時点では、Vive ProまたはRyzenをお持ちの方は、400ドルもするViveワイヤレスキットの購入は控えた方が良いでしょう。

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ケビン・カルボットはTom's Hardwareの寄稿ライターで、主にVRとARのハードウェアを扱っています。彼は4年以上にわたりTom's Hardwareに寄稿しています。