87
中国は、TSMCの1000億ドルの米国取引は台湾の与党が「台湾を売国している」ことを示していると主張
TSMC
(画像提供:TSMC)

TSMCが、アリゾナ州にある既存の650億ドル規模のキャンパスを拡張するため、米国に1,000億ドルを投資すると発表したことを受け、一部の批評家は、同社は「米海兵隊のようになった」と批判し、「現職の民進党(DPP)が台湾を売り渡した好例だ」としている。民進党は台湾の現与党であり、この政権下でTSMCは海外で2nmチップを製造する許可を得た。中国共産党系メディアのGlobal Timesによると、TSMCの1,000億ドル規模の投資発表は、主にアメリカの戦略的ニーズに応える一方で、台湾経済に悪影響を及ぼすだろうという。

「台湾の半導体メーカーTSMCの開発軌跡と投資の方向性から判断すると、TSMCは徐々に解体され、米国に吸収される可能性が高い」と、北京連合大学の朱松玲教授は述べた。「この戦略の根底には、主要半導体メーカーを掌握し、アジアのサプライチェーンへの依存を減らそうとする、技術優位へのアメリカの野心がある。」

米国がTSMCをはじめとする半導体メーカーに対し、米国内に工場を建設することを望んでいるのは概ね事実だが、TSMCの動きによって同社と台湾の国際戦略上の価値が失われる可能性は低い。まず、巨額の投資にもかかわらず、同社の米国での事業拡大は総生産量の5~7%に過ぎないと報じられている。また、TSMCが米国で製造能力を構築したとしても、その工場が米国の機関に完全に統合される可能性は低い。これは、ファウンドリ部門と半導体設計部門をTSMCとブロードコムに売却することが検討されているインテルとは対照的だ。

台湾が半導体産業を米国に譲り渡したと非難されるのは今回が初めてではない。中国当局は先月も同様の発言をしており、民進党が独立支援と引き換えに西側諸国に身を売ったと非難している。しかしながら、今回の投資がTSMCの解体につながる可能性は低い。むしろ、米国市場での優位性を高め、ひいては世界的にもTSMCの地位を強化する可能性もある。

Tom's Hardware の最高のニュースと詳細なレビューをあなたの受信箱に直接お届けします。

ジョウィ・モラレスは、長年のテクノロジー業界での実務経験を持つテクノロジー愛好家です。2021年から複数のテクノロジー系出版物に寄稿しており、特にテクノロジー系ハードウェアとコンシューマーエレクトロニクスに興味を持っています。