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イランの「量子」コンピューターはARM開発ボードを搭載している模様
イランの量子発表に関するメディア報道
(画像提供:IranInt)

先週、イランのハビボッラー・サヤリ少将は、自国が軍事作戦を支援するために既に量子コンピューティング製品を開発・導入していると主張し、量子コンピューティング界に衝撃を与えた。しかし、実際には主張されていたよりも量子コンピューティングの活用ははるかに限定的だったようだ。サヤリ少将が先週公開した量子コンピューティングボードには、量子コンピューティングは全く搭載されておらず、米国Digilent社製のAmazonで販売されているARMベースの開発ボード(ZedBoard)の100%が使用されていたようだ。 

ああ、皮肉だね。

イランの量子発表に関するメディア報道

イラン政府が量子性能のデモンストレーションとして宣伝するARMベースの開発ボード。アマゾンのサムネイル画像のような美しさだ。(画像提供: IranInt)

イラン陸軍の調整副司令官であり、元イラン海軍司令官でもあるハビボッラー・サヤリ提督は、他の軍高官らと写真撮影に応じ、新設計の量子コンピューティングボードによってイランの能力が最先端レベルに達したと主張した。具体的には、イラン軍は既に量子コンピューティングを「量子アルゴリズムを用いた水上艦艇の探知における航法欺瞞に対抗する」ために導入していると主張した。

あらゆる企業や国家(そしてその母体)は、量子コンピューティングの能力を誇示することに熱心であるようだ。これは理解できる姿勢だ。量子コンピューティングはコンピューティングにおける「次なる大物」になると期待されている(ChatGPTやAIの進歩が、人々の意識の中で量子コンピューティングを凌駕しているにもかかわらず)。量子コンピューティングが通信セキュリティ、暗号化、その他多くの重要な技術分野に与える影響を考えると、特定の主体が量子コンピューティングの力を敵に対して誇示することが予想される。これは抑止力であると同時に、技術的優位性の主張でもある。

イランの量子発表に関するメディア報道

しかし、これはいかにも公式っぽい銘板ですよね?(画像提供:IranInt)

もちろん、こうしたスタントは時に逆効果を生む。ペルシャのメディアはすでにこの動きを嘲笑しており、意図せぬ副作用として、イランが量子コンピューティングの分野でいかに遅れているかを露呈させている。700ユーロのデュアルコアDDR3搭載開発ボードに金の銘板が付けられるほどだ。イラン政府の発表内容がデコヒーレントになっていることを考えると、量子コンピューティングに関する言及をうまく取り入れたと言えるだろう。しかし、量子コンピューティング関連の発表は、通常、そのような意図で行われるものではないだろう。

今のところ、市販の量子コンピューティング体験を求めるユーザーは、SpinQの教育向け「Quantops」で妥協せざるを得ないようだ。Quantopsでは少なくとも量子ビットのシミュレーションが可能で、それでもイランのZedBoardで利用可能な量子ビットの100%以上をカバーしている。

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Francisco Pires 氏は、Tom's Hardware のフリーランス ニュース ライターであり、量子コンピューティングに関心を持っています。