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オーロラスーパーコンピュータが本格的に稼働し、研究者に利用可能になった。
オーロラ
(画像提供:アルゴンヌ国立研究所)

アルゴンヌ国立研究所は今週、同研究所のスーパーコンピュータ「Aurora」が完全稼働し、科学コミュニティに利用可能になったと発表しました。2015年に発表されたものの大幅な遅延に見舞われていたこのマシンは、現在、シミュレーションで1FP64エクサフロップス以上の性能、人工知能(AI)および機械学習で11.6混合精度エクサフロップス以上の性能を実現しています。 

「オープンな科学研究のためにAuroraを正式に導入できることを大変嬉しく思います」と、米国エネルギー省科学局のユーザー施設であるアルゴンヌ・リーダーシップ・コンピューティング・ファシリティ(ALCF)の所長、マイケル・パプカ氏は述べています。「初期のユーザーの皆様から、Auroraの大きな可能性を垣間見ることができました。より広範な科学コミュニティの皆様がこのシステムを活用して、研究をどのように変革していくのか、大変楽しみにしています。」 

オーロラ

(画像提供:Intel)

Aurora は、FP64 パフォーマンスが 1 ExaFLOPS をわずかに超える程度なので、シミュレーション用としては最も強力なスーパーコンピュータではありませんが、HPL-MxP ベンチマークによれば 11.6 混合精度 ExaFLOPS を達成できるため、AI 用としては最も強力なシステムです。 

「Auroraの大きな目標は、科学研究のための大規模言語モデルの訓練です」と、アルゴンヌ国立研究所のコンピューティング、環境、生命科学担当副所長、リック・スティーブンス氏は述べています。「例えば、AuroraGPTプロジェクトでは、生物学から化学まで、多くの分野にわたる知識を抽出できる科学指向の基礎モデルを構築しています。Auroraの目標の一つは、研究者が計算速度だけでなく、思考速度と同じ速さで進歩できる新しいAIツールを開発できるようにすることです。」 

Auroraを用いた初期の研究プロジェクトには、人間の循環器系、原子炉、超新星爆発といった複雑なシステムの詳細なシミュレーションが含まれています。このマシンの圧倒的な性能は、アルゴンヌ国立研究所の先端光子源(APS)や欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)といった主要な研究センターのデータ処理にも役立っています。 

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「オーロラで進行中のプロジェクトは、今日行われている科学研究の中でも最も野心的で革新的なものの一つです」と、ALCFの科学ディレクターであるキャサリン・ライリー氏は述べています。
「極めて複雑な物理システムのモデリングから膨大な量のデータの処理まで、オーロラは私たちの周りの世界への理解を深める発見を加速させてくれるでしょう。」 

ハードウェア面では、Auroraは明らかに優れた性能を誇ります。このスーパーコンピュータは166台のラックで構成され、各ラックには64枚のブレードが搭載され、合計10,624枚のブレードが稼働しています。各ブレードには、64GBのHBM2Eメモリを搭載したXeon Maxプロセッサ2基と、Intel Data Center Max「Ponte Vecchio」GPU6基が搭載されており、すべて専用の液冷システムで冷却されます。 

Auroraは合計21,248個のCPUを搭載し、110万個を超える高性能x86コア、19.9PBのDDR5メモリ、そしてCPUに接続された1.36PBのHBM2Eメモリを備えています。また、AIとHPC向けに最適化された63,744個のGPUを搭載し、8.16PBのHBM2Eメモリを搭載しています。Auroraは、ストレージとしてソリッドステートドライブ(SSD)を搭載した1,024個のノードで構成され、総容量220PB、帯域幅31TB/sを提供します。このマシンは、Slingshotインターコネクトを備えたHPEのShastaスーパーコンピュータアーキテクチャを採用しています。

アントン・シロフはTom's Hardwareの寄稿ライターです。過去数十年にわたり、CPUやGPUからスーパーコンピュータ、最新のプロセス技術や最新の製造ツールからハイテク業界のトレンドまで、あらゆる分野をカバーしてきました。