
NASAジェット推進研究所(JPL)は、2023年10月5日に打ち上げられた新型深宇宙光通信(DSOC)システムにより、地球と太陽の距離を超える267Mbpsのネットワーク速度を達成しました。このDSOCテストは、2023年12月11日にNASAの宇宙船「プシケ」で実施されました。同船は金属採掘のため、同名の小惑星に向かう途中のことでした。NASAによると、現在、同船は火星と木星の間の小惑星帯に向かう途中で「健全かつ安定」しています。
NASAの深宇宙光通信は、Psyche衛星が地球からPsyche衛星へ1900万マイル(地球と月の距離の80倍、地球と太陽の距離の1.5倍)の距離を移動しながら、15秒間の4Kビデオ(下記)を伝送する実験で初めてテストされました。ついに、高帯域幅インターネットが真に銀河規模で運用可能となりました。
他の宇宙船で使用されている既存の高性能無線周波数システムと比較すると、DSOCは近距離で267Mbps、深宇宙で25Mbpsというテスト速度で、10~100倍の速度を誇ります。NASAの数値によれば、従来のシステムのピーク速度は約25Mbpsで、遠距離ではさらに速度が向上する可能性があります。まさに銀河系(というか太陽系)レベルの速度向上と言えるでしょう。
最近では、NASAは後継の通信伝送技術を用いて、地球と太陽の距離の1.5倍に相当する1億4000万マイル(約2億6000万キロメートル)以上離れた場所にデモデータを送信しました。4月8日に実施された、より低速な「往復」テストでは、テスト自体に関する大量のエンジニアリングデータを地球に送信しました。この往復テストでは「デジタルペット写真」も使用されましたが、プシケに送信された元のビデオの内容を考えると、これはほぼ間違いなくNASAの「猫ミーム」のコードです。プシケまでの往復で、合計2億8000万マイル(約4億6000万キロメートル)に相当します。
しかし、DSOCには依然としていくつかの欠点が存在します。例えば、高帯域幅のデータ伝送には晴天が必須であり、嵐によって接続が完全に遮断される可能性があります。そのため、将来の宇宙船の飛行や安全上の懸念から、現在の通信システムを維持する必要があると考えられます。ただし、地上局の1つがオフラインになった場合に信号を受信するために、複数の地上局をアレイ状に設置できる可能性も指摘されています。
NASAジェット推進研究所(JPL)のプロジェクト飛行運用責任者ケン・アンドリュース氏は、「私たちが今これを実行できているという事実は、私たちの期待をすべて上回っています」と述べています。
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クリストファー・ハーパーは、2015年からPCハードウェアとゲームを専門とするフリーランスのテクニカルライターとして活躍しています。それ以前は、高校時代に様々なB2Bクライアントのゴーストライターを務めていました。仕事以外では、友人やライバルには、様々なeスポーツ(特に格闘ゲームとアリーナシューティングゲーム)の現役プレイヤーとして、またジミ・ヘンドリックスからキラー・マイク、そして『ソニックアドベンチャー2』のサウンドトラックまで、幅広い音楽の愛好家として知られています。