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TSMCはCHIPS法から66億ドルの現金と50億ドルの融資を受け、米国で3番目の工場を計画している
TSMC
(画像提供:TSMC)

米国政府は、TSMCに対し、66億ドルの助成金と最大50億ドルの融資を含む総額116億ドルの財政支援を行う計画を発表しました。TSMCはこの資金をアリゾナ州に3つの半導体製造施設を建設するために使用し、総投資額は650億ドルを超えます。これは、米国政府がCHIPS法および科学法に基づいて承認した最大の財政支援策となります。

TSMCは、Fab 21フェーズ1の近くに第3工場モジュールを建設し、2025年前半に4nmおよび5nmクラスのプロセス技術を用いたチップの生産を開始する予定です。Fab 21フェーズ2は2028年に稼働開始予定で、2nmおよび3nmプロセス技術を用いたチップを生産します。第3工場では、さらに高度な製造プロセスが採用される可能性が高いものの(TSMCは2nmおよび2nm未満のプロセス技術を期待していると発表しています)、チップの生産開始時期は不明です。 

TSMCの投資は、ハイテク製造業で6,000人、建設業で20,000人以上の雇用を創出し、経済効果を大きくもたらすと予想されています。このプロジェクトには、地元労働者の研修に5,000万ドルの予算も含まれています。半導体産業の拡大はジョー・バイデン大統領の経済政策の中核を成すため、アリゾナ州はこの投資から大きな恩恵を受けると期待されています。

TSMCのアリゾナ州におけるプロジェクトは、労働争議による遅延や政府支援の不確実性など、課題に直面しています。第2工場の生産開始時期は2026年から2028年に延期されました。さらに、ブルームバーグは、少なくとも1社のTSMCサプライヤーが人員不足を理由にアリゾナ州でのプロジェクト計画を断念したと報じています。 

TSMCへの財政支援策は、ジョー・バイデン大統領が2022年に成立したCHIPS・科学法に基づき、米国半導体産業の活性化を推進する取り組みの一環です。この法案は、半導体企業が米国内に製造拠点を設立することを奨励するため、390億ドルの直接補助金に加え、750億ドルの融資と保証を計上しています。この措置は、海外への生産委託の傾向を逆転させ、米国の技術的自立を強化することを目的としています。

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アントン・シロフはTom's Hardwareの寄稿ライターです。過去数十年にわたり、CPUやGPUからスーパーコンピュータ、最新のプロセス技術や最新の製造ツールからハイテク業界のトレンドまで、あらゆる分野をカバーしてきました。